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落ちない枯れ葉

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冬なので寒々しい景色が広がっているが、一角に目を引く木があった。

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枯れ葉が枝にそのまま残っている。なんだか一気に葉ごと枯らされたような感じだ。

あとで調べてみたら、こういうのは英語で marcescence(マーセセンス)、日本語だと枯凋性(こちょうせい)と呼ぶ性質らしい。

Marcescence - Wikipedia 🔗 en.wikipedia.org

Marcescence is the retention of dead plant organs that normally are shed.

ブナで枯れ葉が落葉しないものあり | みんなのひろば | 日本植物生理学会 🔗 jspp.org

枯れた葉が離れないで枝に残ることは枯凋性とも呼ばれています。これは、葉と枝をつなぐ基部に離層ができる時期が遅れるために生じます。ブナ科の落葉樹では、種、品種、個体の大きさ、枝の位置などによってこの性質が大きく異なることが知られています。一般的に、若木や、成木の樹冠内部の葉で枯凋性が生じやすいことが知られています

枯れ葉を残しておくことで、新芽が守られるとか枯れ葉の分解効率が良いとかいろいろメリットがあるらしい。メリットばかりなら、全部の木がそうすればいいのでは?と思うが、なんかまあバランスなんだろう。

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気になって辺りを改めて探してみると、枯れ葉のままついてる木が散見される。たしかにこういうのはときどきあるなと思う。それでも特に最初に見たやつが印象に残ったのは、全体的に色が無くて一気に風化したような感じだったからかもしれない。

カシワ - Wikipedia 🔗 ja.wikipedia.org

葉には芳香があり、さらに翌年に新芽が出るまで古い葉が落ちない特性から「代が途切れない」縁起物とされ、柏餅を包むのに用いられたり、家紋や神紋をはじめとして多様されている。

柏餅 - Wikipedia 🔗 ja.wikipedia.org

カシワの葉を用いた柏餅は徳川九代将軍家重から十代将軍家治の頃、江戸で生まれた。カシワの葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、「子孫繁栄(家系が途切れない)」という縁起をかついだものとされる。江戸で生まれた端午の節句に柏餅を供えるという文化は、参勤交代で日本全国に行き渡ったと考えられているが、1930 年代ごろまではカシワの葉を用いた柏餅は関東が中心であった。

端午の節句に柏餅を縁起物として食べるのは、ブナ科の枯凋性だからという意味を初めて理解した。