あいうえおの本が怖かった
画家の安野光雅さんが昨年末に亡くなったことが先週ニュースになっていた。
あいうえおの本 (安野光雅の絵本) 🔗 www.amazon.co.jp
氏の本は家に何冊かあったが、とりわけあいうえおの本はどうにも幼少期のトラウマというか、今でもこの表紙を見ただけで強烈に心をえぐってくる感覚がある。
たぶん幼稚園の頃だと思うが、それまでに覚えてきた字という概念が、記号ではなく木工細工という具象になってしまうことにまず混乱していた(一見して不可能図形っぽく見えてそうではないというトリックもある)。
ひらがなとそれを表す絵を並べるというのはよくあるものだが、これも単に記号としてのイラストを描くのではなく、複数の意味を入れてたりして語るというのがショックを受けた。
もちろん額の絵もひらがなにちなんだものになっているわけだが、記号としての字を覚えた頃に、こうまで徹底して字の有する記号概念を破壊してくるというのが本当に恐ろしくてしょうがなかった。
なので、楽しめる絵本ですと書いてあるレビューはどうも腑に落ちない(楽しめるのだが)。